きのこの山派?たけのこの里派?
明治のチョコレート菓子「きのこの山」と「たけのこの里」は、ご存知ですよね?
よく、どっち派?なんて話も聞きますよね。
きのこの山、たけのこの里のどちらも、そのお菓子の形がキノコだったりタケノコだったりして楽しいですね!
このきのこの山とたけのこの里のお菓子の形状ですが、実は、立体商標として商標登録されています。
2018年にきのこの山が登録され、2021年にたけのこの里が登録されています。
立体商標として登録されている有名なもの
- コカ・コーラの瓶
- ヤクルトの容器
- ペコちゃん人形
- カーネルサンダース人形
などが立体商標として登録されています。
立体商標って何?
立体商標とは、商品などの立体的な形状を商標として登録し保護する制度のことをいいます。
独占的に・半永久的に保護
立体商標として一旦登録されますと、その立体的な形状をその商品などについて独占的に使用することができます。
また、他の商標の商標権と同様に、立体商標の商標権も登録された日から10年間存続します。そして、この10年の存続期間を何回も更新することができ、更新し続ければ半永久的にそのような立体的な形状を商標法で保護することができます。
ところで、物品の形状などのデザインを保護するための意匠登録出願制度というものがあります。意匠権は、存続期間が25年と長いですが、商標のように何度も更新することができません。
立体商標は登録が難しい
立体形状を独占的に半永久的に使用できるなら、「自分の商品も形状で商標権を取ればいいよね!」って思いますよね? でも、立体的形状の商標登録には高いハードルがあるんです。
その商品の形状を普通に表示しただけの商標というのは、原則として、自社の商品と他社の商品を区別することができないため、商標登録を受けることができません(商標法3条1項3号)。
このような商品の立体形状を普通に表示したものを立体商標として商標登録を受けるためには、その立体商標を見た消費者が「あ、どこどこ会社の商品だ!」と認識できる程度に「自他商品等識別力」が必要になります。
自他商品等識別力 の証明
では、自他商品等識別力 がないということで、 商標法3条1項3号 に該当するとして拒絶理由通知がなされた場合、どうやってその拒絶理由を解消したらよいでしょうか?
たけのこの里を例に挙げると、はじめ、「本願商標の立体的形状は、「菓子」の機能又は美感を発揮させるための商品の一形態を表示するにすぎず、同種商品が一般的に採用し得る範囲内にとどまるものというのが相当」と判断され、「自他商品等識別力」が認められませんでした。
その後、特許庁に対して、「本願商標の使用開始時期・使用期間」、「売上高や販売数量」、「商品のシェア」、「広告宣伝の態様」、「商品の認知度のアンケート結果」などを提出して、「自他商品等識別力」があることが認められ、やっと、登録されました。
立体商標?意匠?
たけのこの里の例を見ていただければ解るように、 「自他商品等識別力」 を認めてもらうためには、様々な証拠を提出しなければならず、かなりの労力を必要としますし、認めれらるかどうかも解りません。
このように立体商標の登録の難しさを考えますと、立体的な形状を保護したいと考える場合は、まずは、商品を販売等する前に、意匠登録出願を考えたほうが良いかもしれませんね。