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手続き
2022.08.12

特許庁と印鑑

近年、世の中では「脱ハンコ」の流れが加速しています。特許庁への申請手続も、以前はほぼ全ての書面手続で申請人や代理人の押印が必要でしたが、令和2年12月28日以降、押印が必要な手続は段階的に減らされています。ここでは、特許庁への申請手続の押印見直しにより、現在どのような運用になっているかを簡単にご説明します。さらに詳細を知りたい方は特許庁ホームページをご覧ください。

押印が必要な手続

特許庁の言葉を借りるならば、「偽造による被害が大きい手続」については現在も押印が必要です。もっと具体的に言うと、権利の所在(持ち主)に関する影響力の大きい手続には押印が必要、ということになります。

本人が知らないまま誰かに権利が移ってしまったり、勝手に自分の名称や住所を変えられたりしてしまっては大変ですので、このような手続においては、なりすましを防ぐために押印を継続しています。これに当てはまる手続は33種あり、代表的な申請手続とその例は右表の通りです。

押印が必要な手続の代表例

代理人手続の場合

原則は上述の通りなのですが、特許事務所(弁理士)が代理して手続をする場合には、届出書/申請書には申請人印、代理人印、いずれも押印不要です(ただし、手続書面に添付する各種証明書(譲渡証書等)には証明者の押印が必要です)。余談ですが、特許庁に提出する委任状も現在は押印不要です(PCT国際出願関係手続除く)。なんとも不思議な運用とも言えますが、それだけ特許事務所(弁理士)は特許庁から信用されているということでしょうか。

印鑑の種類と必要書類

以前は、特許庁に最初に手続をした際に使用した印鑑(実印でなくても可)が特許庁に登録され、以降はその登録印を用いて手続する必要がありました。 しかし上記の変更に伴って特許庁登録印は廃止され、現在は個人も法人も、必ず実印での押印+印鑑証明書の提出が必要となりました(法人の場合は「実印により証明可能な法人の代表者印」でも手続可能です)。

なお印鑑証明書については、一度提出すればその後実印に変更が無い限り、手続の都度の提出は不要です(手続書面に、印鑑証明書を添付した申請書名・提出年月日等と、新たな印鑑を使用するものではない旨の疎明を書きます)。

署名でもOK?

上述の通り、押印が必要な手続きにおいては「実印押印+印鑑証明書提出」が原則であり署名に代えることはできません。しかし、外国人や海外に住む日本人が手続をする場合には署名が認められます。ただし、署名の場合には本人確認措置として以下のいずれかが必要となりますのでご注意ください(詳細はこちら)。

  • 申請書等に譲渡人又は譲受人等の代理人である弁理士又は弁護士による「譲渡人等の意思確認をした旨」の記載
  • 署名の真正性に係る認証(面前認証、自認認証等)付譲渡証書等の提出
  • 署名証明書の提出
  • 譲渡人本人が特許庁に来訪した際に本人確認ができた場合(パスポート等)