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法律・制度
2022.04.15

実用新案の注意点

別のコラムでも書いておりますが、実用新案は、審査がなされないことから確実に登録されますし、手続き回数も少なくなることから特許よりも登録までの期間も短く、費用も安く済みます。すなわち、「はやい、やすい、確実」です。

良いところ取りのように見えますが、実用新案には、特許と比較して、様々な制約やデメリットがあるため、実用新案登録はあまり利用されておらず、 利用する場合であっても他社への牽制や販売の促進等が目的というのが現状です。

具体的には、以下のような制約やデメリットがあります。

権利の有効性が不明

実用新案では、権利の有効性に関して客観的な判断がなされずに登録されるため、権利として有効なものとそうでないものとが混ざっています。

そのため、権利化後に無効審判が請求された場合に、その実用新案登録が無効になる可能性が高いものが多く存在しています。

実用新案技術評価書を提示して警告

実用新案では、実用新案技術評価書を侵害者に提示して警告した後でなければ、権利行使することができません。
実用新案技術評価書は、特許庁に対して実用新案技術評価の請求を行うことで得られ、そこには、考案の新規性や進歩性についての評価が記載されています。

法律上は、新規性や進歩性がないという不利な評価がされた実用新案技術評価書で権利行使することも可能ですが、次にお話しする問題があるため、事実上は、実用新案技術評価が不利な評価であった場合には、権利行使できません。

相手方から損害賠償請求をされてしまう可能性

権利行使後に、その実用新案登録が無効になってしまった場合は、その権利行使をした実用新案権者が、相手方から損害賠償請求をされる可能性があります。

不利な実用新案技術評価をもらっているということは、無効審判を請求された場合、その実用新案登録は無効になる可能性が高いということから、事実上権利行使ができません。