現地代理人とは?
外国への出願を経験されたことのある方であれば、必ずと言っていいほど「現地代理人」という言葉をお聞きになったことがあると思います。「現地代理人って誰?」「日本の特許事務所は代理人じゃないの?」と疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれません。
答えを言うと、現地代理人=出願国の弁理士(特許事務所)です。ではなぜ、日本の代理人がいるにもかかわらず、外国でも別の代理人を通じて手続きをしているのか、現地代理人、国内代理人(日本の代理人)それぞれの役割からご説明します。
現地代理人の役割
現地代理人は、その国の特許庁に対して直接手続きを行います。庁からの通知も、基本的には現地代理人へ送られます。
日本を含む多くの国では、特許庁に対して代理手続きができるのは、その国での資格を取得し、登録した弁理士(又は弁護士)のみです。日本の弁理士が代理できるのは日本特許庁に対しての手続きのみであり、外国の特許庁に対しては手続きができません。そのため、外国へ出願する際は現地代理人が必須です。ちなみに、日本以外の出願人が日本に出願する場合は、日本の弁理士が「現地代理人」となります。
国内代理人(日本の代理人)の役割
上記のように、厳密に言うと、外国出願における代理人は「その国の」弁理士であり、日本の弁理士ではありません。では、日本の特許事務所を介さずとも外国へ出願できるのでしょうか?答えは「Yes」です。出願したい国の特許事務所に直接コンタクトを取って手続きを依頼することももちろん可能です。しかし現状では、外国に出願する場合でも 日本の特許事務所を通す場合がほとんどです。その理由は主に以下の2つです。
現地代理人との的確なコミュニケーション
現地代理人は、その国の法律や実務の専門家ではありますが、それを他国の出願人にわかりやすく説明することは必ずしも得意ではありません。そこで、外国の法律知識や実務経験のある国内代理人を通すことにより、その国の制度や運用について詳しく説明や提案を受けることができますし、現地代理人に対しても的確に意図を伝えることができます。
また、現地代理人とのやりとりは、基本的に英語で行われることが多いです。外国出願を多く扱う特許事務所には語学が堪能な弁理士やスタッフがいますので、業界特有の込み入った内容でもスムーズにコミュニケーションを取ることができます。
各国間の権利化手続の調整・情報連携
同じ内容でも、一旦複数国へ出願を済ませると、その後は各国独立して審査が進められます。審査の結果もスピードもバラバラです。また中には、他国での審査状況を報告することが義務である国もあります(アメリカ、インド等)。そのとき、各国の情報を一元管理し、それぞれの国の実務事情を踏まえた上で適切な提案・指示をする調整役が必要になります。それが国内代理人の主な役割です。
日本の出願人が外国出願をするとき、日本でも同じ内容について出願をしている(又は予定している)場合が多いです。日本の出願を日本の特許事務所を通じて行った場合、その事務所は出願内容について熟知していますので、外国出願の際にもその特許事務所を通した方が出願人の負担が少なく、効率的であるというわけです。
おまけ ~ 国内代理人のもう1つのミッション ~
一口に「現地代理人」といっても、その規模、得意分野、料金、品質は様々です。どの現地代理人に依頼するかによって、最終的なコストも権利範囲も大きく変わる可能性があります。お客様により良いサービスをご提供するために、普段から外国の特許事務所とのネットワークを広げ、質の高い現地代理人と良好な関係を築いておくことも、国内代理人の重要な使命です。